ラーマーヤナも読んでみました。
物語のあらすじをすごーく簡単に言うと
魔王ラーヴァナに拐われた妻シーターを主人公の大英雄ラーマが救出するという物語なのですが
読後すぐの感想を一言でいうと、、
「消化不良感がすごい」
ここでの消化不良は胃ではなく、頭というか心の消化不良感です。
※以下ネタバレも多く含む個人の感想を述べます。
(先入観など無くいつか純粋にラーマーヤナを読んでみたい!とお思いの方はブラウザバック←で)
”囚われの姫”というとかよわいイメージですが
ラーマーヤナのヒロインのシーターは、
大の大人が何人がかりでも持ち上げられなかったシヴァの弓をらくらく片手で持ち上げてみたり物語の終盤で魔王の双子の弟をどこからともなくやってきた獅子に颯爽とまたがり一瞬でやっつけちゃいます。
心も体もめっちゃ強い!
後半から登場してきて主人公ラーマを慕う猿の英雄ハヌマーンも
敵の大ボスも軽々と一人でやっつけられそうなくらい強い。
太陽を脇に挟んで山を丸ごと引っこ抜いたりします。(すごすぎ!笑)
正直主人公ラーマよりも強そうな人がたくさんいる物語です。
今まで持っていた自分の中のヒーロー話の概念が覆されます。
どうして主人公より強いこの二人が
(多分、自分たちより弱い?)主人公ラーマを慕ったのか。
シータは魔王と主人公ラーマの違いをこう語っています。
👸「ラーヴァナ(魔王)はわたしのことなど見ていない。単に私を所有したいだけ。
愛とは力ではありません。力を放棄すること、無防備に屈服すること。
愛とは相手を見ることです。私はラーマ(主人公)を見、ラーマは私を見ています。
私はラーマに見られたいと思い、ラーマも私に見られたいと思っています。
私は恐れることなくラーマに弱点を見せ、彼もそうしてくれました。ラーヴァナは誰も愛することができません。彼は誰も見ていないからです。自分自身すら」
深い言葉ですよね、、
ハヌマーンはラーマに従う理由をラーマの弟バラタに聞かれたときにこう言います。
🐵「ラーマ様は私を、より良い者になろうという気にさせてくれるからです。」
また黄金の人魚との会話の中でも
🐵「ラーマ様は私に何の期待もかけないことによって私を開放したのだ」
人間関係ではよくやりがちですよね。
相手に自分の弱みを見せられなかったり、相手に期待をして縛ってしまったり。
それをやめることでラーマは強力な力をもった二人に慕われたのですね。
だけどこのお話はそんな爽やかなすっきりとしただけの物語ではありません。
敵の大ボスを見事倒してシーターを救出し、やぁ〜っと感動の再会!と思ったら再会後のラーマのシーターへの第一声は
「夫としての義務で救出しただけ。もう悪魔のところでもどこへでも好きなところへ行って」です。
エエエエエエーーーーっっ!?😭!
最初はなんて冷たい主人公なんだ!とショックでしたが
じゃあどうなればハッピーエンド?と最後まで物語を読んでよくよく考えてみると
王さまが規律や国民よりも自分の感情優先で動くことを
好しとしなかったラーマの崇高な精神が少しだけ分かったような気がしました。
自分や大切な人の感情よりも王としての立場を優先したのですね、きっと。
他にも
カルマとは何か
死とは何か
ダルマとは何か
悪とは何か
正しさと忠実さ、どちらがより良いのか?
などなど
重ためのテーマがたくさん練りこまれています。
思いどおりにはいかない世界をどのような心もちで過ごしていけばいいのか
そんなことを考えさせてくれる物語調の哲学書だと思います。
教科書のようにダイレクトに答えを教えてくれるものではなく
自分で考えて答えを見つけていく哲学書。
なので読んだ後はしばらくモヤモヤしますが、
きっとそれぞれにオリジナルの素敵な答えを導きだせると思います。
ご興味がある方はぜひご一読を😊✨